本日は成人式です。
そこで「成人として、未成年とは責任が違うので身を引き締める」
のような言葉を耳にします。
では、成人になると未成年者と違う責任とは【具体的に】何でしょうか?
1 刑罰上の成人の責任
多くの場合その責任とは【刑罰の責任】と考えるている人が多い様に感じます。
未成年者は少年法である程度保護されますが、成人は保護されませんからね。
しかし、刑罰はそもそも犯罪を犯さなければ成人だろうと、未成年だろうと問われることはありません。
つまり、成人になったから気を付けなければならない重い責任とは言えないと思います。
2 民事上の成人の責任
刑罰は犯罪を犯さなければ関係ありませんが、それとは別に民事上の責任も重くなります。
つまり、普通に生きているだけでも重い責任になる部分です。
ここまで意識して「成人として、未成年者とは責任が違う」と言えたらカッコいいと思います。
なお、法的な詳細はブログが進んだ時に民法の序盤で書いて行きます。
3 民事上具体的に変化する責任
【単独で契約行為を有効に成立させることができる】
これが全てと言えるほど一番重要な部分です。
今の社会、契約を一切しないで生きて行くことは不可能です。
そうは言っても「私は日常生活で契約なんてしたことないですよ!」
と思うかもしれません。
しかし、契約とは契約書を交わさなくても成立するため、契約と思っていなくても契約をしていることがあるんです!
その代表例が買い物です。
4 売買契約
買い物は、
買いたい人が「これ下さい」と意思表示をします。
それに対してお店側が「いいですよ!売りますよ」と承諾します。
買いたい意思と承諾による契約行為なんです。
この売買契約は意思が合致するだけで成立するタイプの契約です。
そのため、契約書は不要です。
5 売買契約での未成年者の責任
成人は単独で契約行為を有効に成立させることが出来ると言うことは、未成年者は出来ないと言うことです。
近所の大人との自転車の売り買いを例にしてみましょう!
貴方(未成年者)、近所Aさん(成人)
貴方はAさんから自転車を購入しました。
実際に乗っていると、何か思ったより良くなかったのでやっぱり自転車のやり取りはなかったことにして貰い、お金を返して欲しいと考えました。
この場合、未成年者だとそれが出来てるんです。
大人側から見たら理不尽極まりないですよね。
シッカリと売り買いをして、自転車を実際に使用されたのにお金を返せって。
でも未成年者にはそれが許されるんです。
これが未成年者の保護されている責任の程度です。
これはとんでもなく厚い保護です。
6 同事例での成人の責任
貴方が成人の場合はどうなるでしょうか?
単独で契約が有効に成立するので、受け渡しが終わったら解約は出来ません。
それでも無理矢理解約しようとするなら損害賠償問題に発展します。
シッカリとした契約で成人は保護されません。
全て自己責任で契約を行うことになるんです。
これが未成年者と成人、つまり19歳と20歳の大きな責任の違いです。
7 まとめ
今回は契約との意識をしていない売買契約を例にしましたが、他にも
◎ 仕事・バイトは雇用契約
◎ 頼みごとを承諾すれば委任契約・請負契約
◎ 物を預かるなら寄託契約
◎ 物をあげる・もらうなら贈与契約
◎ 物を借りるなら使用貸借契約、消費貸借契約
等々、日常的に何気なく行っている行為全部。
これらはシッカリと責任や義務が発生している契約です。
それら全部の責任が成人になると自己責任として負わなければならないわけです。
19歳までの未成年の時はその必要がなかったんです。
だから未成年の時は「約束したけど、やっぱり止めた!」で何の責任もありませんでしたが、成人では「じゃあ、責任取れよ!」と言われたら損害をお金等で賠償し責任を取らなければならないんです。(相手が実際にお金を求めてくるかどうかは別問題ですが)
このように、成人の責任とは刑罰だけではなく、日常的に重い責任になるんです。
身が引き締まりましたかね?
責任が重くなったと捉えるか、一人で行える行為が広がったと捉えるかは貴方次第です!
新成人の貴方はおめでとうございます。
大人の貴方は是非、新成人に教えてあげて下さい。
ブックマーク、拡散などを宜しくお願いします。
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