2017年1月11日水曜日

よろしい、ならば検閲の禁止だ! #11

本ブログは【一発合格行政書士 合格テキスト】の内容に沿って書かれています。



 今回は憲法「検閲の禁止」です。
 今まで憲法で保障されてきた権利は全て、他人の権利侵害、公共の福祉を害する場合には制限されるものでした。

 しかし、今回は制約されない特殊な権利です。

1 検閲の禁止
【憲法21条2項】検閲は、これをしてはならない。 

 そもそも検閲とは何か?
 検閲とは<表現行為がされる前に、公権力が行う表現の抑制のこと>です。
 つまり、本等を出版する前に、中身を精査して、発売中止にするようなことを指します。
 そのような検閲は絶対にしてはいけないと言っているんです。


 しかし、この条文だけでは検閲の定義や範囲があまりにも曖昧すぎますよね?
 だから後に裁判で検閲について定義を設けています。

<誰が行う者か?>
 行政権が主体となるモノを指す。
 つまり「検閲を役所が行ってはダメですよ!」ってことです。

 そのため、NPO法人(私人)とか、裁判所(司法)等が検閲によって出版禁止にすることは問題ありません。

<何を対象に?>
 思想内容等の表現物を対象に保護しています。

 本の出版等が代表的です。

 個人著者が路上で本を手売りで出版するために道路使用許可を取ろうとしたところ、不許可になった場合。
 これは一見すると出版の事前抑止にも見えますが、行政は申請を不許可にしただけであり、出版そのものを抑制しているわけではないので、検閲禁止の対象にはなりません。

<いつ?>
 発表前の抑制です。

 つまり、一度出版された物を販売中止にすることは検閲には当たりません。

<どうする?>
 発表を禁止する。


2 判例
<税関検査事件>
【簡単な内容】
 税関検査で、海外の出版物を輸入しようした者に対して、出版物の内容を検査し、輸入を禁止した判断が検閲に当たるのでは?と争われた。

【判例】
 これは表現物の発表そのものを禁止しているのではなく、国内への持ち込みを禁止しているだけなので、検閲には当たらない。

<第一次家永教科書事件>
【簡単な内容】
 教育委員会が教科書を検定して、教科書にとして採用するか、教科書として採用しないかを事前に判断する行為は検閲に当たるのでは?と争われた。

【判例】
 教科書検定はその本を教科書として採用するかどうかのモノであり、一般図書として発行を禁止するモノではないので、検閲には当たらない。

<重要判例 : 北方ジャーナル事件>
【簡単な内容】
 選挙に立候補した者を批判中傷する記事を載せた雑誌「北方ジャーナル」が、その発表前に裁判所によって差し止められた。
 これは発表前の事前差し止めなので、検閲に当たるのでは?と争われた。

【判例】
 原則的には裁判所も検閲をしてはならない。
 しかし、裁判所は行政権ではなく司法権なので、他者の人権や公共の福祉等を害する恐れがある場合には事前差し止めが許される。


 判例として見るとちょっと間違い易い部分です。
 誰が、何を、いつ、どうするか?
を覚えておき、それを事例に当てはめる方が理解しやすい部分だと思います。


 さて、次回は職業を選択する自由についてです。
 様々な事業展開がされている昨今ではとても重要な部分です!

 行政書士試験を受けない人でも知っておいて損はないので、是非次回もよろしくお願いします!

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 読者さんから何も反応がないと心が折れそうです・・・
 

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