2017年1月24日火曜日

20代で知っておくべき大統領令とは?

 トランプ大統領が就任し、早速TPP離脱について大統領令に廃止の署名をしました。
 これほど早く動き出したと言うことは、他の政策よりも関心が強い事だったんだと思います。

 細かい体制は【アメリカの政治体制】に大統領と議会の関係や法律の特徴等を書いていますので、併せて一読ください。

 今回はこの「大統領令とは?」にスポットを当てたいと思います。


1 大統領令とは?
 大統領(行政・軍事のトップ)が発する命令です。

<行政立法>
 行政権限に属する大統領には立法権限はありません。
 そのため、原則的には法律を作れません。

 しかし、例外的に【行政による立法】と言うモノが一部認められており、この大統領令も行政活動を行う上で必要な命令として下すことが出来るモノです。

 命令も種類としては【法】に分類されます。
 【憲法とは?】に法の種類や優劣性を紹介しているので、詳細はそちらをお読みください。

 行政活動を行う上で「一切の立法を認めない」としてしまうと、命令や通達、規則を作る等も一切できないことになります。


 行政権に限らず、貴方の職場でも職務規定等まで立法機関しか制定できないのでは、組織が回らなくなってしまいますよね?
 だから、「ある程度の決まりは立法権限がない所でも作って良いですよ!」ということです。


<大統領令の効力>
 先程も言ったように、法の一種ですので、効力は当然発生します。
 ただ単に「大統領が何か好き勝手言ってるよ」では済みません。

 そのため当然、今回トランプ大統領が署名したTPP離脱の大統領令も効力はあります。
 あくまでも国内での効力なので、それによって国際社会の法となるわけではないので、そこは勘違いしてはいけませんよ。

 ただし、現在アメリカ議会(立法)はTPP参加に消極的ですので、今回の大統領令はそれを後押しするような形になるのかなと思います。


2 大統領令による独裁国家化

「大統領に法律を作る権限もあるなら、トランプ大統領みたいな人にそんな権限を持たせたらアメリカは独裁国家になっちゃうじゃん!」
と思う人もいると思います。

 しかし、それは有りませんので、心配は不要です。


<議会による牽制>
 基本的に大統領と議会は権力が分立しているので関わり合いません。
 しかし、行政の権限だろうと、立法を行う場合はそうは言ってられません。

 そこで、立法機関は「大統領令が変だ!」と覆したり、改正させることが出来ます。


<司法による牽制>
 更に独裁的、違法な大統領令は司法審査で「認めない」とすることも可能です。


 大統領はあくまでも行政(実際の行動)権限の最高権力者なだけで、法律を作ったり、適法性を判断する権限はないんです。
 つまり、何でもかんでも権力を全部持っているわけではないんです。

 行政はあくまでも行動をする権限ですので、行動指針の法律を作る立法権限はオマケって程度で捉えて下さい。

 「オマケですが法でもある」って感じです。


<オバマケア>
 アメリカは医療保険制度が未発達です。
 そのため、日本のように誰でも安価で医療を受けられるような国ではありません。

 それでは貧困に悩む国民が苦しんでしまいます。
 そこで前オバマ大統領は「安価で医療が受けられるようにしよう!」と考えました。

 日本のような皆保険とは違うのですが、国民が保険に入るように、入りやすいようにする政策を打ち出しました。

 そうすれば、アメリカでも安く医療を受けられるようになりますので。
 だから前オバマ大統領はこれを大統領令で決めました。
 これがいわゆるオバマケアです。

 しかし、実はアメリカ国民の多くはこの制度に反対している傾向にあり、トランプ大統領もこのオバマケアを廃止しようとしています。

 これも近いうちに大統領令によって廃止になると思います。
 そのため、このオバマケアが廃止になることでトランプ大統領を批判するのは違いますからね。

 日本人の感覚からすると「何で?」って思う人も多いと思いますが、助かる人もいれば、損をする人もいますから、お国柄もあるんだと思います。


3 日本はどうなの?
 日本も行政立法、つまり内閣が命令等を作ることは認められています。
 ただし日本は大統領制ではないので、またちょっと違います。

 基本的に日本では行政の内部的な決まり事として発するだけです。
 その性質上、国民に影響が出る部分が全くないとは言い切れませんが、「影響が全くないとは言い切れない」って程度の影響です。


 日本の詳細に関しては、#番号付き本編の行政法部分でやりますので、それまでお待ちください。


 アメリカのトランプ大統領に関するニュースはこれからも、「オバマケア」「大統領令」と言うワードは重要キーワードですので、是非注視してみて下さい。

 TPP離脱に関しても、大統領令に署名されただけではまだ100%の確定ではないようで、日本はまだ粘るようですので、そこも注目です!


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