2017年1月17日火曜日

憲法の受益権という奇跡 #17

本ブログは【一発合格行政書士 合格テキスト(TAC出版社)】に沿って書かれています。


 今回は憲法「受益権」です。
 簡単に言うと、色々と求めることで、権利を受けることを保障している部分ですね。
 それらの代表的な部分を列挙するような形です!

1 請願権
【憲法16条】何人も、損害の救済、法律等の制定改廃請求等を請願する権利を有し、それによっていかなる差別的待遇も受けない。


 憲法では請願する権利を定めているだけですが、この条文を受けて別に法律で請願を受けた機関は誠実に処理をしなければならない義務を課しています。


2 裁判を受ける権利
【憲法32条】何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。

 裁判と聞くと刑事裁判をイメージする人も多いかもしれませんが、民事も含めて裁判と言っています。

 裁判を受ける権利の趣旨としては、請願だけでは、所詮お願いってだけなので、救済されない可能性が残ります。
 そこで、法で強制的な救済方法として裁判と言う手段を設けているような趣旨です。
 

3 国家賠償請求権
【憲法17条】何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

 詳細は行政法でやりますが、憲法では明治憲法への反省から載せられた条文だとだけ伝えておきます。
 明治憲法では国家無責任原則がありました。
 つまり、国家は国民に対して責任を負わないとする原則ですね。
 そのため、国が賠償しますよ!と敢えて載せた部分です。

<重要判例 : 郵便法違憲事件>
【簡単な内容】
 お金を貸しているA。 お金を借りているB。

 Bがお金を返さないため、Aは差押えを裁判所に申し立て、裁判所はそれを認め、差押え令書を発送した。
 しかし、郵便局員の過失により配達が遅れただけではなく、差押えを察知したBが令書が届く前に財物を処分してしまい、Aはお金を返してもらえなくなってしまった。

 Aは国家賠償を請求したが、郵便行政は郵便法で国家賠償責任が免除されていることを理由に拒否したため、賠償責任を免除する法律は違憲ではないか?が争われた。

【判例】
 郵便法によって国の賠償責任を免除しているのは違憲だとし、Aの国家賠償を認めた。


4 刑事補償請求権
【憲法40条】何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその保障を求めることができる。

 これは日本の刑事司法制度だと少しイメージがしにくいかもしれません。
 日本は逮捕されると99%有罪になるので、
【逮捕された者=犯罪者】
ってイメージが根強いんですよね。

 でも法的には逮捕されても犯罪者ではありません。
 裁判で犯罪者かどうかを判断します。

 そのため、無罪の者を逮捕しても、逮捕行為自体は適切・適法な場合も存在します。
 要件が違いますので。

 そこで、適法に逮捕し、裁判で無罪になった場合の補償を規定しているモノです。

 補償についても行政法の国家賠償と合わせてやります。
 賠償と補償は似ている制度なので、一緒にやった方が分かり易いですからね。

 一応違いを言っておくと、
【賠償】は違法な行為による損害を救済してもらう手段です。
【補償】は適法な行為による損害を救済してもらう手段です。


さて、次回は多くの人が一歩下がりやすい部分ではありますが、できるだけ簡単に説明していきたいと思います。
 参政権についてです。

 一人では政治関係の勉強はしない・出来ない人は是非一緒に学びましょう!

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