2017年1月20日金曜日

外国人の人権についてみんなが誤解していること #20

本ブログは【一発合格行政書士 合格テキスト(TAC出版社)】に沿って書かれています。


 今回は憲法「外国人の人権」です。

 今までは【国民は】等、日本人を想定した部分でしたが、外国人だって日本にいるわけですから、人権がどのようになっているのかは重要な部分です。

 外国人についての明文は存在しないので、判例に従って保障されている感じです。

1 外国人の人権の基本的な考え方
 人権とは、国家や憲法が出来る前から存在するモノである。

 そのため、人権保障は、権利の性質上日本国民のみを対象としているモノを除き、日本に在留する外国人にも等しく及ぶ。


<判例 : 外国人職員昇進拒否訴訟>
【簡単な内容】
 地方公共団体が、【管理職に昇進できるのは日本人に限る】とするのは、外国人の差別では?と争われた事件。

【判例】
 そもそも外国人が公権力の行使を行う公務員になることを、日本の法律は想定していない。
 そのことから、日本人のみが管理職に昇進できるとする仕組みは違憲ではない。


2 重要判例 : マクリーン事件
【簡単な内容】
 外国人Aは在留期間の延長を求め、更新申請を行った。
 しかし、法務大臣は「Aが在留中にデモ集会に参加する等の政治活動を行ったこと」を理由に更新を拒否した。

 それを不服として、拒否判断を取消し、延長を認めるように争われた事件。

【判決】
 外国人にも、その性質上日本国民のみを対象としているモノを除き、日本国憲法の人権は保障される。
 そして、デモ等の政治活動もある程度の限度内で認められるので、デモ等を行うのは問題ない。

 しかし、法務大臣が判断した事に対して、延長を認めるように要求するような権利は認められない。

※ つまり、デモはオッケーだけど、出入国に関しては不服を言っちゃダメってことです。


3 重要判例 : 定住外国人の地方選挙権
【簡単な内容】
 日本に住んでいる外国人Aが、「自分が選挙人名簿に登録されていないことは不当だ(=投票できない)」として選挙管理委員会に異議の申し出をした事件。

【判決】
 選挙権はその性質上、外国人には保障されない。

 また、憲法で言う選挙権のある【住民】とは区域内に住所を有する日本国民を指しているため、その地域に住んでいる外国人では、この条文を根拠に「私は住民である」と主張することも出来ない。

 ただし、国政とは異なり、地方選挙に限っては、定住外国人に対して特別な法律を作ることで、選挙権を付与することは許される。

※、つまり原則的には選挙権はないけれど、地方選挙なら認める余地があるってことです。
なお、法律を作るか、作らないかは立法の裁量なので、司法が判断するものではありません。


4 重要判例 : 外国人指紋押捺拒否事件
【簡単な内容】
 外国人Aが、外国人登録申請を行った際、申請に必要な指紋の押捺を拒否したため、外国人登録法に違反するとして起訴された事件。

 指紋の押捺の強制は違憲ではないか?
 また、違憲だった場合、それは外国人Aにも及ぶのか?
が争われた。

【判決】
 何人も、みだりに指紋の押捺を強制されない自由を有する。
 そして、この自由は外国人にも等しく及ぶ権利である。

 しかし、外国人登録手続きでの指紋の押捺は、在留外国人の公正な管理を行う上で合理性のある必要な手続きであり、指紋の押捺方法も過度の苦痛を与える様なものではない。

 そのため、本件での指紋押捺は違憲ではない。



 この辺りになると、いきなり判例だけを読むと難しく感じるかもしれませんね!
 もし単発的にこの辺りの記事を読んで難しいと感じたら、最初から順序建てて読むことをオススメします。

 徐々に難しくなってくる感じですので。

 今回は外国人でしたが、次回は生きている人ではなく、法的な人についてです。

 そうです。
 法人と呼ばれる人について人権は保障されるのか?についてです。

 是非お楽しみに!

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