2017年1月19日木曜日

親の話と社会権には千に一つも無駄が無い #19

 本ブログは【一発合格行政書士 合格テキスト(TAC出版社)】に沿って書かれています。


 今回は憲法「社会権」です。
 学校の公民の授業でもやる部分ですので聞いたことがある言葉も出て来るかも!?

1 生存権
【憲法25条1項】全ての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
【同条    2項】国は、全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 今までの条文は国民に対して権利を保障するなどの趣旨でしたが、この生存権はちょっと違います。
 「このように国政を運営しましょう!」と宣言しただけとされています。

 そのため、この条文から国民に対して具体的な権利は与えられてはいません。

 宣言文だと捉えて下さい。

<判例 : 堀木訴訟>
【簡単な内容】
 社会保障は生存権を保障するために設定されている制度である。
 この社会保障である障害者福祉年金と児童扶養手当との両方を受け取る要件を満たしている者が、両方を受給することは禁止されているのは違憲ではないか?と争われた事件。

【判決】
 憲法の生存権は宣言したものにとどまり、この生存権実現のために具体的な選択決定は立法府の広い裁量に委ねられている。
 そのため、司法である裁判所が審査判断する趣旨には合わない事柄である。

※ 日本は三権分立なので、要は他権力独自の権限に口出しはできないと言っています。
※ 裁量とは、自由に意思決定や判断が出来る余地のことです。


2 教育を受ける権利
【憲法26条1項】全て国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。

【同条    2項】全て国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする。

 ここで注意が必要な部分としては、義務教育は無償って部分でしょうかね。
 この無償の範囲は学費の部分です。
 つまり、教材費や給食費等は無償の範囲には入っていません。

 これとは別に、教育方針に関する判例があるので見てみましょう!

<重要判例 : 旭川学力テスト事件>
【簡単な内容】
「子供と直接接する機会の多い教師や親、近所の人々等が教育内容を決定すべき」
と考える人達と
「国が教育内容について決定し、教育水準を維持すべき」
と考える人達とが、自分達の主張が正しいと争った事件。

【判決】
 どちらの主張も極端すぎて全面的に採用することは出来ない。
 義務教育の教師にも何をどのように教えるか?の教授の自由は保障される。
 しかし、義務教育で子供側には学校や教師を選択する自由はなく、義務教育の目的としては全国的に一定水準の学力を確保することが挙げられる。

 そのため、国は、必要な範囲で教育の決定権を有する。

※ そのため、義務教育の教科書選定等は教育委員会がやっていますが、実際に教える授業は教師の工夫で色々と行っています。


3 労働基本権
【憲法27条1項】全ての国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。
【同条    2項】賃金、労働条件等は、法律で定める。
【同条    3項】児童は、これを酷使してはならない。

【憲法28条】勤労者の団結する権利及び団体交渉、その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

 電通の過労死問題とか、ブラック企業とか、昨今ではこの権利はとても注目を浴びている部分の一つですね。
 なおこの部分に特化している士業者は社労士です!

 行政書士試験では特に重要ではないので、触れる程度で終わりです。

<判例 : 国労広島地本事件>
【簡単な内容】
 労働組合が組合員に対し、組合費の負担を義務付けることは違憲か?が争われた事件。

【判例】
 組合が行う反対闘争活動のための費用納付を義務付けるのは認められない。
 しかし、反対闘争活動によって不利益を受けた組合員を救援するために納付を義務付けるのは許される。


 公民の授業より少し踏み込んだ感じですかね?
 旭川学力テストの内容を頭に入れておくだけで、問題ない部分ですから、ドンドン次へ行きましょう!

 次は外国人の人権についてです!
 条文を見ていればわかると思いますが、憲法は基本的に【国民】と表現していますからね!

 お楽しみに!

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